ライブでボーカルが聞こえない原因と対処法|ロックバンドの音作りの基本

「せっかく練習したのに、ライブでは『歌が聞こえなかった』って言われた…。」
ライブの現場では、ボーカルマイクの位置やアンプの角度、ドラムの鳴らし方など、ちょっとした要素が積み重なって“歌が埋もれる”ことがあります。
でも適切な工夫と努力で、観客にしっかり声を届けられるようになります。
この記事では、バンド歴10年以上の筆者が、「ライブでボーカルが聞こえない」原因とその改善方法をわかりやすく解説します。
小さなライブハウスでも“歌が通るバンド”になるための音作りのコツを、一緒に見ていきましょう。
ライブでボーカルが聞こえない主な原因|ボーカルマイクが他の楽器の音を拾っている
主にギターとドラムの音を、ボーカルマイクが拾っていることが原因です。
特にドラムはボーカルの真後ろに位置することがほとんど。
なのでドラマーは特にボーカルとかぶりやすいシンバル類の音量に注意が必要です。
ギターは、ボーカルと最も帯域が被りやすいパート。
ギターアンプの出力が大きすぎて、ボーカルマイクに音が拾われている可能性があります。
このように、ボーカルマイクにボーカル以外の音が多分に拾われている状態だと、PA卓でどれだけボーカルを上げても、全体が濁ってしまいます。
結果、いつまでたっても「ボーカルが聞こえない」状態になるわけです。
それでも改善策はもちろんあります。
根本的な改善策から、その場で対応できるものまであるので、ぜひ以下のアイディアを試してみて下さい。
ライブでボーカルが聞こえないときの対処法
① ボーカルはオンマイクで歌う
口元をマイクに近づける「オンマイク」を意識しましょう。
オンマイクにするとPA側ではボーカルのマイクのレベルを上げなくてもよくなるので、余計な音を拾いにくくなります。
② ボーカルは声量を上げる
バンドの場合、おそらく「歌モノのポップス」のように歌を主役にした楽曲アレンジではなく、それぞれのパートにしっかり存在感のある楽曲が多いと思います。
またそもそも空間が小さいキャパ150人前後のライブハウスで、完全にマイクの音被りを解消するのは難しい。
そうなると、やっぱり声量(パワー)を上げることは必須となります。
もちろん、ジャンル問わず声量は大事です。
しかしロックボーカリストの場合、その楽曲アレンジとハコのキャパの問題から、ある意味で音程をとる能力より大事かもしれません。
ぜひ日々のトレーニングを見直してみて下さい。
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③ ギターアンプの音量・角度を調整する
アンプがボーカルマイクを直撃する位置にあると、音がかぶってしまいます。
アンプの角度を少し変えたり、壁に向けるなどして直接当たらないように調整しましょう。
どうしてもアンプからの音が大きくないと、テンションが上がらないギタリストもいると思います。
生音(アンプからの音)が物足りないと感じたら、モニターから自分の音を返すことで調整してみて下さい。
④ ドラムはスネアをミュートする
ドラムでボーカルと音がかぶりやすいのは、シンバル類とスネア。
緊急手段になりますが、スネアをミュートすることでスネアの高音が抑えられて、ボーカルの帯域を空けられることがあります。
ライブハウスには必ずガムテープがありますし、定番のテープミュートを試してみて下さい。
⑤ ドラマーは3点をバランスよく叩けるようにトレーニングする
キック、スネア、ハイハット(ライド)の音量バランスが悪いと、バンド全体の音作りのクオリティが下がります。
えてして、利き腕で叩くハイハットが大きくなりがち。
スネアが小さくなりがちです。
ドラムセットは、それぞれの楽器に対して1本ずつマイクを立てます。
しかしボーカルマイクと同じく、それぞれ他の音も拾う。
キックのマイクにライドが入れば、やはりアンサンブル全体に中域が増えることになります。
それはボーカルが聞こえないことに繋がります。
ドラマーが1曲通して、あるいはライブを通して適切な音量バランスでプレイできないと、いくらアンプやPA卓でツマミを調整しても難しくなります。
ドラマーはテンポキープだけに意識が行きがちです。
しかし
- ひとつひとつの楽器をしっかり鳴らす
- そのうえでドラムセット全体の音量バランスを意識する
といった基本的なプレイアビリティもしっかりトレーニングすべきです。
これは特に安価な電子ドラムで練習すると身につきません。
電子ドラムはタッチが弱くても強くても、一定の音が”鳴ってしまう”からです。
ぜひスタジオに個人練習で入って、生ドラムで練習してみて下さい。
⑥ 各楽器の帯域を整理して音のかぶりを防ぐ
楽器の音には、
- 音量
- 音程
- 帯域
の3つの概念があります。
帯域はギターで言うと、ギターアンプのイコライザー(EQ)で調整する部分。
バンドにおいてベターな帯域バランスは、おおむね以下のようなイメージです。

帯域が被った場合、音量の大きい方だけが聞こえます。
これをマスキングと言います。
ここまでのとおり、ボーカルマイクにギターの音が入っている以上、マスキングで勝つのはギターであることが多いです。
なので、帯域を調整して”あらかじめ”ボーカルの帯域を空けておくのも有力な手段です。
⑦ アレンジ・アンサンブルを見直す
例えば、
- リードギターもボーカルギターもガシガシコード弾き
- ベースはハイポジションを使ったメロディアスなフレーズ
- ドラムはハイハットオープンでハードショット
そのようなアンサンブルがあった場合、これはなかなかボーカルが聞こえにくいでしょう。
アンサンブル自体が、中域に集中しているからです。
つまり楽曲アレンジ自体が音楽的でない可能性も、シビアに追求しないといけません。
ここまでの①〜④の事柄を意識できるようになると、きっとどんどんアレンジの違和感に気づけるようになるはずです。
ロックバンドはどうしてもその勢いから”演奏しているだけで気持ちいい”となってしまいがち。
しかしそれは例えるならスポーツ的な快感で、音楽的な快感とはちょっと違います。
ぜひ「体を動かして気持ちいい」という感覚ではなく、「耳で聞いて気持ちいい」という感覚を鋭く、尊重してみて下さい。
おすすめは1曲だけでもビートルズをカバーしてみること。
特にベーシストであるポールマッカートニーが作曲した楽曲は、アンサンブルがとてもバランスよく美しいです。
騙されたと思って、ぜひ試してみて下さい。
※おすすめ楽曲↓
⑧ 歌詞を見直す
ボーカルの抜けはよいのに、お客さんに「歌が聞こえない」と言われる。
それはもしかしたら「歌詞がわからない」という意味に近いかもしれません。
特に日本の音楽文化は、その根強いカラオケ人気からもわかるように、歌メロと歌詞を重視します。
リスナーは歌詞を聴きたい、歌詞で感動したいと思うもの。
- 韻を踏まなすぎてリズムが悪い
- 語彙が多すぎて難解
- 言いたいことが多すぎてメッセージが散らばっている
特にたくさんの言葉(語彙)を使って、難解な歌詞になりすぎてしまうのがアマチュアではよくある失敗。
また歌詞に描かれる場面が増えすぎるのもよくある失敗です。
「卒業」をテーマに歌詞を書いていたのに、いつの間にか高校3年間を丸ごと描写していたり…。
「恋愛」から「失恋」、「友情」も「青春」も詰め込んでしまう。
そうなると一体何が言いたいのがわからなくなってしまいます。
まずは平易な言葉で「1曲1場面1メッセージ」を意識して、歌詞を練り直してみて下さい。
まとめ|当日のリハより、日々の練習が大事
以上をまとめると、
- オンマイクで歌う
- スネアミュート
- アンプの角度
などは、ライブ当日のリハーサルで調整できる緊急的な措置でした。
対して
- 声量アップ
- ドラム3点のバランス
- 帯域の整理
- アンサンブル・アレンジ
- 歌詞
などはいつものスタジオ練習、あるいは個人練習から積み重ねないと改善されません。
またボーカルだけが努力してもダメなこともわかると思います。
逆に全員が10%ずつスキルアップすると、バンド演奏は2倍も3倍もよくなるもの。
ぜひ、少しずつ工夫と努力を重ねてみて下さい!
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