あるバンドマンが音楽を嫌いになった理由

バンドマンも長く続けていると、成功する人、失敗する人いろいろ見てきます。
今日は失敗した人の話。
彼はバンド活動をやめただけでなく、「音楽」そのものも嫌いになってしまいました。
なぜでしょうか?
音楽を嫌いになった理由① お金がなくなった
彼のバンドはインディーズで3枚ほどアルバムをリリースしました。
とは言っても、全てバンドが費用が負担するほとんど自費出版のようなもの。
それはそれで売れたときの利益がでかいのですが、彼の場合は思ったような成果があげられませんでした。
アルバムを発売するのにいくらかかるか知っていますか?
ピンキリですが、レコーディングに10万~50万。
プロモーションビデオの撮影に10万くらい。
そしてCDのプレス代に10万円くらいはかかります。
その他、色々と宣伝費も含めてなんだかんだ一枚リリースするのに100万円くらいかかるのが相場。
彼のバンドは4人だったので1人25万円。
普段のリハーサルや機材のメンテナンスにプラスして25万円です。
まぁ、ぼくも経験ありますけど結構大変ですよねぇ。。。
そのお金はアルバイトから捻出されます。
バイト→バンド→バイト→バンドの中でお金がどんどんなくなっていく。
まさにジリ貧。
もうそんな日々はイヤだと彼は言っていました。
音楽を嫌いになった理由② 時間がなくなった
そんな中では彼は「自分の時間」を全然もてなかった、と言いました。
普通にテレビみたり、恋人とデートしたりっていう時間ですね。
バイトもバンドも集団行動。
自分のがんばりがいつ如何なる時も実を結ぶわけじゃないんですよね。
娯楽を楽しむ時間がないのはまだよかったらしいです。
何より自分の将来に投資する時間が持てなかったことが、今になって一番辛いそうです。
資格とるため勉強したり、専門技術のスキルを身につけたり、人として経験をつむ時間がなかったと。
バンドも、たしかに大きな経験です。
でも世の中って大変で、バンド活動した経験は直接自分の「市場価値」になるわけではありません。
「正社員募集!元バンドマン優遇!」みたいな求人みたことないですもんねぇ。(笑)
黒字になったり自分に利益が返ってくると可能性があったのですが。。。
彼はすごく努力してたんですが、バンドは売れませんでした。
音楽を嫌いになった理由③ バンドメンバーが嫌いになった
努力しても、努力しても報われない。
そんな時、その不満はどこにいくかというとやっぱりバンドメンバーだったんです。
ぼくが客観的に見て、彼はすごく努力家だったので、まぁ周りに不満があってもしょーがないとは思いました。
けれど狭いバンドと言うコミュニティ。
ちょっとした怒りが「楽しさ」を奪っていきます。
これが一番最悪で、昼はやりたくもないバイト。
夜は楽しくないバンド。
そして時間とお金だけが減っていく。
そんな最悪なスパイラルにはまっていきました。
ここまでくるとホント「なんでやってるんだろう?」って感じです…。
人生を失ったのは音楽のせいだ
結果、彼は10年以上バンドを頑張ったのですが何の成果も上げれずそのバンドは解散することになりました。
その時、彼は虚無感に襲われたそうです。
「この10年はいったいなんだったのか…?」
現実的に未来につながることがなにもできず、ただただお金と時間を失ってしまったのではないか?
そんな思いにかられたそうです。
そしてフツフツと「人生を失ったのは音楽のせいだ」と思うようになりました。
いや、たしかにちょっと強引ですよね。
なんだかんだ自己責任だし。
でも、彼も頭ではわかっているそうです。
しかし心がついていかない。
本当にがんばっただけに、報われなかった「今」をどう解釈すれば良いかわからないみたいです。
まとめ|バンドで失敗しても音楽が嫌いにならないように
彼と話してぼくはとっても悲しかったですね。。。。
音楽が大好きではじめたバンドが終わったとき、その音楽が嫌いになっている。
それこそ時間やお金がなくなること以上に不幸なことのような気がしてなりません。
でもね。
こんな人、実はたくさんいると思います。
バンド活動においてCDリリース→ライブっていう流れは定番化しています。
前述のとおり、それにはお金と時間の負担が伴います。
でも、ふと考えてみるとそれ以外にも活動方法はたくさんあるんですよね。
今の時代、それぞれがそれぞれの目標にあった活動スタイルを見出すべきじゃないかと思うんです。
別にCDださなきゃダメってわけじゃない。
リハーサルもスタジオじゃなくてもよい。
レコーディングだってDAWもあるし。
既存のバンド活動のスタイルが身の丈にあっていない人もいる。
だったら違う方法で活動して、自分にもバンドにもしっかり投資して、少しづつ成長していった方が良いのではないかと。
ぼくはこのブログから「身の丈にあったバンド活動をする方法」を発信していきたいと思います。
ちょっとでもバンドをやっているみなさんの役に立てれば良いなぁ。
そして願わくば音楽が嫌いになるバンドマンがなくなりますように。