音楽家こおろぎさんが興味深いツイートをしていました。
Tunecoreなどで音源を配信しないアーティスト、どうしてなのかすごく気になる。(よく関わってるけど直接聞けない)
宣伝広告費として¥5000/年ならめっちゃ安くない…?— こおろぎ (@Kohrogi34) 2016年9月28日
たしかに!
TUNECORE JAPANってとっても便利で良いサービスですよねぇ。
TUNECORE JAPANはいわゆるデジタル・ディストリビューターです。
iTUNESやApple Musicなど,ほとんどのデジタル音楽ストア・ストリーミングサービスに誰でも自分の楽曲を配信できるサービスです。
しかも売り上げの還元率はアーティストに100%!(ストアそれぞれの手数料を除く)
手数料も1アルバムにつき年間5000円程度です。
こりゃあ、たしかに使った方が良さそう。
でも今現在、ぼくがやっているバンド「ヘイシーズ」では利用させてもらってないんですね。
それはなぜか!?
一応、自分なりの考えがあってのことなので、今日はこおろぎさんの疑問に勝手に答えてみようと思います(笑)
①儲からない
ぼくのような知名度の低いバンドだと、いくら大手配信サイトに登録したところで売れないんですよねぇ…。
手数料は確かに1アルバム5000円/年と安い気がしますが、これは月額にすると400円くらいになります。
しかも毎年更新しなければいけないので、この月額400円が半永久的に続くことになります。
(2年で8560円、3年で12370円というプランもあります)
iTunesならAppleの取り分を差し引いて、アーティストが受け取れる金額は一曲につき118円(200円で販売した場合)。
4回ダウンロードされたら元がとれますね。
ストリーミングで400円分稼ぐとなると、何回ぐらい再生されないといけないか?
1再生の単価は様々言われていますが、ざっくり1円あたりが相場のようです。
そうなると400回再生されて元がとれそう。
むむむ…。
これは知名度が低い、駆け出しのバンドだとしっかり利益を出すのは難しそうです。
単純に利益を求めるならばBASEなどを使いウェブショップを立ち上げて売った方が少ない販売数で利益を出せそうです。
②宣伝効果が低い(わからない)
「いや、だから宣伝として使うんだよ!」
そうなんですよね(笑)
音楽配信サイトはもはや「儲ける」プラットフォームというより、「宣伝」の場という使い方になっています。
しかしその宣伝効果は、これまた無名のバンドからするとオイシイものでしょうか?
例えば、ぼくたちがAppleMusicで特集を組まれるなんてことは…?
ないわけです(笑)
5000円をウェブ上の宣伝で使うのなら、YouTubeにMVをアップして、アドワーズ広告に5000円突っ込んだ方が宣伝効果は高そうです。
そもそもYouTubeでそれなりに再生されていないと、なかなかストリーミングでも再生されないでしょうし。
参考記事:ミュージックビデオをDraftを使ってネット広告で宣伝してみた結果
③顧客接点が持てない
これが一番難しい問題だと思っていて、大手配信サイトで自分の楽曲が売れても、ぼくらバンドはお客さんと接点が持てないんですね。
それはiTUNESやAmazonのお客さんということになります。
②とも関連しますが、Amazonなどを使っていると登録したアドレスに頻繁にセールスレターがくるじゃないですか?
あのセールスレターにぼくたちが載る可能性ってどのくらいなんでしょうか?
まぁ、そんなに期待できないでしょうね。
これがもしnoteなどのプラットフォームで自分の楽曲を売ることができたら…。
noteにはフォロー機能がありますから、継続的にファンと関係性を築ける可能性があります。
そんなわけで、ぼくら使ってません
そんなわけで、ぼくたちヘイシーズはTUNECORE JAPANを使わせてもらってないんです。
自分たちのリソース(お金や労力)を鑑みて、優先順位が低くなっています。
今使っているのは
といった感じです。
もちろんコレで上手くいくという保証はありません。
ランニングコストの削減にこだわった結果ですので、むしろ知名度獲得はゆっく~りでしょうね(笑)
TUNECRE JAPANをうまく使うには?
なんだかTUNECORE JAPANをディスっているように思えますが(笑)、ぼくこのサービス大好きなんですよ。
非常に夢がありますよね。
っというか大体の人が使った方が良いサービスだと思います。
チャンスの取りこぼしを防ぐ投資として
音楽活動をやっていると何らかのチャンスが舞い込む可能性があります。
例えばフェスのオーディションだったり、テレビの出演だったり。
その時、音楽ファンはYouTubeはもとより大手音楽配信サイトであなたのバンドを検索する可能性は極めて高いです。
いざ!って時に必要な場所に露出していないと重大な機会損失になる可能性があります。
考え方としては「宣伝」というより「投資」です。
(だから費用対効果が悪い可能性もある)
瞬間最大風速の利益を最大限得るためにも、TUNECORE JAPANは重要な「投資先」で間違いないです。
戦略的に使うことで大きな宣伝効果を
また、なんでも「大手」というものは戦略的に使うことで爆発的な効果を発揮します。
極端な例ですが、テイラー・スウィフトなんかはずっとストリーミングサービスへの配信をしてきませんでした。
ひっぱって、ひっぱって「まだか?まだか?」とファンをジラシ「ここぞ!」というタイミングでApple Musicで独占配信。
(ロイヤリティでもめたというのがもっぱらの理由らしいが)
結果的に大変話題を呼び、CDの売り上げにも貢献したとか。
ちょっとこの例はスケールでか過ぎますが(笑)、例えばぼくらでも「LINEのフォロワーが5万人いるバンドなので特集してください」とLINE MUSICに売り込めたとしたらどうでしょうか?
プラットフォームとしては有料会員を獲得したいのです。
それに貢献してくれるプレイヤーを優遇(特集)するのは当然のこと。
つまり「プラットフォームとコラボして認知を広げている人気と実力」を交渉材料にして初めて大きな宣伝効果が見込めます。
(ぼくらはその「人気と実力」を獲得するのに最大限のリソースを使うべき時期だ、というわけですね)
実は稼げるサービス!
「稼げない」とか言ってますが、それはぼくの話であって実際のところTUNECORE JAPANは多くの収益をアーティストに還元しています。
少し古いですがこのロン・ホープの事例など。
ロンはアメリカ・アトランタ出身。
期待の若手シンガーソングライターであり、プロデューサーやレーベル運営も兼任している彼は、Spotifyを活用することで一躍有名になったアーティストとして話題を呼んでいる。
メジャーレーベルとの契約を解消する少し前の2008年にロンはチューンコア(US)から楽曲配信を開始。
それ以来、ストリーミング再生では3年間で5700万再生を記録し、本人が打ち明けた収益はなんと33万ドル(=約3300万円)、2013年だけでも20万ドル(=2000万円)を売り上げる偉業を成し遂げた。
またアーティストに還元している金額はどんどん増えています。
デジタル音楽ディストリビューションサービス「TuneCore Japan」によるアーティストへの還元額が、2012年10月のサービスインから2015年末時点で、6億円を突破した。
このうち3億5千万円を2015年度のみで還元しており、今年度中には10億円を突破する見込みだ。
引用元:TuneCore Japan アーティストへの還元額が6億円を突破、今年度中に10億円超の見込み | Musicman-NET
最近ではYouTubeコンテンツ収益化サービスも始まり、ミュージシャンにとって重要なプラットフォームであることは間違いありません。
今現在、ヘイシーズは使ってませんが、いずれ然るべきタイミングで使うつもりです。
(ってか書いてたら使いたくなってきたな…w)
っと、まぁそんなこと書いていたら今日「Spotify」の日本スタートが発表されましたね!
こういった大きなニュースがあると一気にストリーミングサービスが盛り上がる可能性があります。
やっぱり使っておくのが賢いかもしれませんね(笑)
そんなわけで、みなさんも是非TUNECORE JAPANの利用を検討してみて下さい。
Tunecoreなどで音源を配信しないアーティスト、どうしてなのかすごく気になる。
実のところ「知らない」と言う人が多数でしょうからね(笑)
ぜひ音楽仲間に教えてあげて下さい!