インディーズのミュージックビデオ作り方【自作・体験談】スマホ&無料アプリで作れる

「ミュージックビデオを作りたいけど、お金も機材もない…」
そんな悩みを持つインディーズバンドやアマチュアは多いと思います。
私自身もこれまでいくつものバンドでMVを制作してきました。
ライブ映像をつなげただけのシンプルなものから、低予算で工夫したリリックビデオまで、試行錯誤を重ねてきた経験があります。
この記事では、その実体験と実際のミュージックビデオ動画をもとに「スマホと無料アプリで始められるMVの作り方」を具体的に紹介します。
低予算でできるMVのタイプから、撮影・編集の方法、さらにアイディアで勝負する工夫まで、現場で感じたリアルな視点を交えて解説していきます!
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まずMVのタイプを決めよう|ミュージックビデオの作り方は4通り
一口にミュージックビデオといっても、色んなタイプがあります。
わたしが実践してきたのは以下の4パターン。
どれもアマチュアからインディーズバンドにとっては極めて現実的な選択肢です。
定番|演奏シーンメインのミュージックビデオ(スマホ+リハスタ)
これはリハーサルスタジオで演奏している様子を自分たちで撮影し、編集したミュージックビデオ。
撮影はスマホ、編集はAdobe Premiereでした。
学生時代に映像研究会(映画サークル)に所属してメンバーがいたので、編集スキルがありました。
撮影はバンド合宿して丸2日間で完結。
スタジオ代は30,000円程度でした。
素人がスマホで作ってもこのぐらいのミュージックビデオは作れるので、目安にしてもらえればと思います。
定番|ライブ映像編集タイプのミュージックビデオ(既存素材活用)
友人・知人が好意で撮影してくれていたライブ映像をプロに丸投げしたパターンです。
30,000円程度で編集してもらいました。
すでにある映像を利用し、編集も外注するので、メンバー的にはもっともラクな方法です。
編集者はココナラで探すと見つかります。
簡易|リリックビデオ(Canva活用で歌詞メイン)
リリックビデオとは、静止画や簡単な映像に歌詞を印象的に見せるタイプのミュージックビデオ。
ブラウザから使える編集ソフトCanvaでもテンプレートを使って簡単に作れます。
手間やお金がかけられないけど、できる範囲でリッチなミュージックビデオ作りたい人におすすめです。
アートトラックで良しとする選択肢も
TuneCore Japanなどを利用してYouTube Musicに音楽配信すると、YouTube側にアートトラックが自動生成されます。
アートトラックとは、ジャケット画像に音源が流れるだけの動画。
とにかく楽曲をYouTubeで聴ける状態にしておきたいだけなら、アートトラックで済ませるのもひとつの考え方。
アートトラックは「〇〇(アーティスト名) ー Topic」というチャンネルが別途生成され、そこから配信されます。
自分で運営しているチャンネルに統合することもできます。
統合した方が再生数は伸びやすいと思うので、手続きしておくのがおすすめです。
映像のイメージを固めよう|絵コンテを作成するワーク
映像のイメージが曖昧だと、撮影当日に迷って無駄なテイクが増えたり、編集で苦労したりします。
簡単なワークを通してイメージを固めましょう。
ステップ1:参考MVを3本ピックアップ
好きなアーティストのMVをYouTubeで探して、近い雰囲気のものを保存しておきましょう。
ステップ2:印象に残ったカットを書き出す
「顔のアップ」「演奏全体」「手元」など、気になったカットをスクショやメモで残します。
ステップ3:自分の曲の構成に当てはめる
Aメロ=手元、Bメロ=表情、サビ=全体など、曲の流れに合わせてカットを割り振ります。
ステップ4:Canvaのストーリーボードでざっくり可視化
Canvaでは、絵コンテを簡単に作れる「ストーリーボード」機能があります。
そこに写真や落書きを入れて配置すれば、十分な絵コンテが作成できます。
撮影に必要な機材|スマホだけで足りる最低限
スマホ(カメラ)
一眼レフのカメラ等があれば更に美しい映像が撮影できます。
しかし機材が本格的になってしまうと、かえってスキルが必要。
バンドメンバーが自作するならスマホがかえって現実的です。
三脚
必須アイテムです。
三脚がないと手ブレした映像になってしまい、素人っぽさが出てしまいます。
できるだけ背の高い三脚だと便利です。
撮影場所
リハーサルスタジオで撮影するのもあり。
もう少しこだわりたい場合はスペースマーケットで検索してみて下さい。
撮影可能なスタジオやハウススタジオ、ロケーションが豊富に見つかります。
パソコン
スマホアプリで編集もできますが、やはりパソコンで作業したほうが疲労感が少ないです。
近年のパソコンなら、簡易的な編集はハイエンド(ハイスペック)のパソコンでなくても作業できます。
MacbookだとiMovieも付属しており、新たに購入するならやはりおすすめです。
編集ソフト3選|CapCut・iMovie・Canvaで作るMV
CapCut(無料で多機能、スマホ向け)
CapCutはTikTokを展開するByteDanceが提供している無料アプリ。
スマホ1つでカット編集・テロップ挿入・エフェクト追加まで対応できる万能型です。
自動字幕生成や音楽とのシンクロ機能もあり、初心者でも直感的に操作可能。
まずは「MVを形にしたい」という人には定番の選択肢になっています。
iMovie(iPhone/Mac標準)
Apple製品ユーザーなら最初に試すべき編集ソフト。
iPhoneやMacに標準搭載されており、基本的なカット編集やトランジションはすべて揃っています。
操作画面がシンプルなので、映像編集に慣れていない人でも迷いにくいのが魅力。
短いMVやリリックビデオならiMovieだけで十分完成します。
Canva(リリックビデオやスライドMVに最適)
デザインツールとして有名なCanvaですが、動画編集機能も充実しています。
特に歌詞を画面に表示する「リリックビデオ」や、静止画とテキストを組み合わせたスライドMVとの相性が抜群。
豊富なテンプレートを活用すれば、タイポグラフィや背景演出も簡単に追加できます。
デザイン性を重視したい人におすすめ。
その他の選択肢(Premiere Pro)
本格的にMVを制作したい人は、より高機能なソフトを検討してもよいでしょう。
Adobe Premiere Proはプロの現場でも使われる定番で、カラーグレーディングや高度なエフェクト処理が可能。
強力なAIツールも魅力です。
将来的にミュージックビデオを継続して発表するなら、ここでAdobe Premiere Proを使ってスキルを身に着けてしまうのも手です。
かっこよく見せるコツ
映像全体にフィルター

例えば撮影に使った3台のスマホのスペックがそれぞれ違っても、フィルターをかけることで誤魔化しが効くことも。
編集もフィルターを選ぶだけで簡単です。
おすすめアングル|ドラム上部とギター手元


- ドラムの上部から見下ろしたアングル
- ギター・ベースの手元アングル
はベターでカッコいいアングルです。
特にドラム上部は、ワンポイントで使うと新鮮味があって飽きさせない演出になります。
歌詞(文字)を大胆に取り入れる

特に画質があらい素材しか用意できなかった場合、なかなかごまかしがきいて良い演出です。
一時期はとても流行した編集でした。
フリー素材やAI素材を活用する方法
フリー素材サイト|PIXTA
演奏シーンだけでは物足りないときは、映像や写真のフリー素材を使うのも手です。イメージ映像を差し込むだけで作品の完成度がぐっと上がります。
例えばPIXTAなどの有料プランを使えば、商用利用可能な動画素材や写真をダウンロードして安心して使えます。
歌詞の背景や情景カットに挟むだけでも、映像がプロっぽく見えるようになります。
AIの活用法|Adobe Firefly
Adobeが提供する生成AI「Adobe Firefly」は、Premiere ProやAfter Effectsと連携できるのが強みです。
MV制作にも直結する実践的な機能がそろっています。
- テキストから映像を生成
「夜の街を走る車」「森を抜ける光」などと入力すれば、数秒の動画クリップを生成可能。
挿入カットとして重宝します。 - 既存映像の加工
撮影した演奏シーンを「映画風」「ビンテージ風」に加工。
雰囲気を統一するのに役立ちます。 - 背景や空の置き換え
屋外撮影で曇天だった映像も、Fireflyを使えば夕焼けや星空に変換できます。
追加のロケなしで“映像映え”を作れるのが魅力です。
インディーズバンドにとって嬉しいのは、Premiere Proを使っていればそのままFireflyを呼び出せる点。
新しいツールを覚える必要もなく、Adobe CCの契約内で完結します。
低予算でも独自の世界観を打ち出したいときの使えるツールです。
予算と外注の相場
インディーズバンドが外注する場合、目安は以下の通りです。
- 3万円:簡易的な編集やリリックビデオ
- 5万円:撮影+編集込みのシンプルなMV
- 10万円以上:企画込みで撮影スタッフを入れる本格的なMV
依頼するときは、見積もり時に「修正回数」「納期」「納品形式」を必ず確認しましょう。
実際に映像クリエイターさんを探して予算を確認するには、ココナラが便利です。
マーケティング|ミュージックビデオをバズらせるのは難しい
現在はインディーズでもアマチュアでも、ミュージックビデオを作るのが当たり前になりました。
その結果、YouTubeやSNSには膨大なMVが並び、MVを起点にバズを起こすこと自体が難しくなっています。
予算の少ないバンドが多額の費用を投じても、規模の大きなアーティストに映像面で勝つのは困難です。
だからこそ現実的な選択肢は「割り切って低予算で作る」か「アイディア勝負に振り切る」こと。
低予算で作る方法は、ここまで紹介してきました。
「アイディア」とは、例えば次のようなこと。
- エア演奏MV:楽器を持たずに全力で演奏しているフリをするだけで逆に目を引く
- 腕立て300回チャレンジMV:曲の間、腕立てを300回できるか挑戦する
- 大喜利30問MV:メンバーが順番にお題に答えていく。曲をBGMにする
いわば「ミュージックビデオ」というより、「YouTubeらしい動画」といった考え方。
バズを狙うなら、あざとくバズるアイディアを取り入れるのが大事です。
どうしてもバンドのキャラクターに合うアイディアがないなら、やはり低予算でつくる選択肢を検討してほしいと思います。
インディーズバンドは、持続的にリリースを重ねることが一番大事。
打ち上げ花火的にミュージックビデオに多額の予算を投じても、上手くいかないことがほとんどです。
ぜひ、自分たちのスケールに合ったミュージックビデオづくりを進めてみて下さい。
※MVにお金をかけすぎて失敗した例↓

関連|YouTubeで再生回数を増やす基本的な戦略
せっかくできたミュージックビデオ。
YouTubeのアルゴリズムを活用して、できる限り再生数を伸ばしましょう。
関連記事にて解説しています。
まとめ|まずは一本つくってみよう
現代では、ミュージックビデオが「ないとさびしい」存在になっています。
でも同時に「つくるのは難しい」と感じてしまうのも自然なこと。
実際はスマホと無料アプリさえあれば、意外と簡単に形にできます。
リハスタで演奏するだけでもいいし、リリックビデオから始めても十分。
まずは一本、自分たちなりのMVを公開してみてください。
それがきっと次の作品や、まだ出会っていないファンにつながっていきます!