後悔しないバンド名の決め方|失敗談と有名バンドの由来も紹介

「バンドを組んだけど、名前が決まらない…」
バンド名は、あなたの音楽活動の未来を大きく左右する超重要な要素です!
ライブ告知やSNSのアカウント、サブスク配信のアーティスト名――どんな場面でも最初に目に入り、耳に届くのがバンド名。
この記事では、筆者の失敗談や有名バンドの実例も交えながら、「後悔しないバンド名の決め方」を徹底的に解説します。
これから活動を始める人も、改名を検討している人も、ぜひ参考にしてみてください。
バンド名の重要性|ブランディングの大事な要素
バンドを始めるとき、楽器や曲作りと同じくらい大切なのがバンド名です。
なぜなら、名前は否応なく ブランディング になるから。
いや、むしろ「ブランディングになってしまう」と言ったほうが正確かもしれません。
ブランディングは、大きく分けて次の三つの要素で成り立っています。
- 音楽性(=あなたのバンドの「味」)
- ビジュアル(=ステージ衣装やアーティスト写真などの「パッケージ」)
- バンド名(=まさに「商品名」)
例えばお菓子を考えてみましょう。
子ども向けの安価なチョコ菓子に、やたら難解な横文字の商品名がついていたらどうでしょう?
なんだか高級そうで子どもには手を伸ばしづらいし、口コミで広まりにくくなりますよね。
バンド名もまったく同じ。
3つのブランディング要素が、一気貫通した世界観でつながっているのが理想です。
お手本になるのが、例えば「ギターウルフ」です。
- 音楽性 = パンク
- ビジュアル = 全員黒い革ジャン
- バンド名 = ギターウルフ
ちなみにベーシストは「ベースウルフ」、ドラマーは「ドラムウルフ」と芸名(?)がついており細部まで完璧。
ブランディング要素は相互に影響し合って、バンドの世界観を作り上げます。
逆に言うと、バンド名が音楽性に影響することもあるわけです。
なので、バンド名を適当につけてしまうと肝心の音楽に悪い影響を与えてしまうことも。
だからこそ、バンド名は音楽と同じくらいの熱量で考えるべき重要な要素です。
そんなバンド名をどうやって決めればいいのか――ここからは、実際の「バンド名の決め方」を具体的に見ていきましょう。
バンド名の決め方
立っているステージをイメージしよう
まずは、自分たちがどんなステージに立っている姿を思い描くところから始めましょう。
下北沢のライブハウスで汗だくになっているのか、Zeppの大きなフロアでお客さんを煽っているのか、日本武道館でファンの大合唱に包まれているのか…。
あるいは、ミュージックステーションの画面に名前がテロップで流れる姿や、アメリカのライブハウスで現地のオーディエンスを盛り上げる姿でもいい。
理想のステージをイメージすると、自然と自分たちの音楽性やビジュアルの方向性が浮かび、それに似合う名前のヒントが見えてきます。
このイメージは、バンド名だけでなく衣装やビジュアル、つまりブランディング全般に影響します。
メンバー同士てじっくり話し合って、より鮮明なイメージをつくりましょう。
ここでは「ステージ」をきっかけにしましたが、ぜひ他にも色んな切り口でイメージを語り合ってみて下さい。
ジャンルによくあるバンド名をチェック
次に、ジャンルごとの「定番の型」を見てみましょう。
- ロックバンドなら「〇〇S」と複数形をつけるのは王道。The Beatles、The Rolling Stonesのように、集団感や勢いが出ます。
- メタル系なら「サンダー」「ファイヤー」「ブラッド」など、力強く破壊的なワードがハマりやすい。
- ポップス寄りなら、日本語やひらがなを混ぜてやわらかい印象にするのもアリ。
もちろん、型にハマる必要はありませんが、あえて定番に寄せるか、逆に外すかを考えることで自分たちらしさが際立ちます。
ネット検索でかぶりを確認
せっかく気に入った名前が見つかっても、同じ名前のバンドがすでに活動していたらアウトです。
Google検索やYouTubeで完全一致検索をかけ、同名のアーティストがいないか確認しましょう。
また、X(Twitter)、Instagram、TikTokなどのSNSでアカウントIDが空いているかを調べておくと、後々スムーズです。
「検索で見つからない」ことは、ファンにとっても大きなストレスになります。
発音・入力テスト・略称
次に大事なのが言いやすさと打ちやすさ。
- 実際に声に出してみて噛まないか?
- スマホで打ったときに変換候補で出るか?
- 音声入力で正しく認識されるか?
ここをクリアしていないと、ライブMCで名乗っても伝わりづらいし、検索してもらえない…なんてことに。
「短い・シンプル・間違えにくい」名前は、それだけで強い武器になります。
もしどうしても言いにくい場合は、略称も想定しておきます。
アジアンカンフージェネレーションは「アジカン」、ミスターチルドレンは「ミスチル」など、愛を込めて略されるケースはとても多いです。
SNSのIDやドメインは略称で取得してしまうのもひとつの手段です。
商標・ドメインチェック
最後のステップは法的なチェック。
- 商標データベース(J-PlatPatなど)で同じ名前が登録されていないかを確認。
- ドメイン(.com / .jp)が取得できるかを確認。
万一、同名で商標を取られていた場合、あとから改名を迫られる可能性もあります。
また、公式サイトを立ち上げたいときにドメインが取れるかどうかも、活動の広がりに直結します。
バンド名メーカーやAIツールを使うのはアリ?
ネットで「バンド名」と検索すると、いくつか自動生成してくれる“バンド名メーカー”やAIツールが見つかります。クリックひとつで名前を提案してくれるので、つい試したくなる人も多いでしょう。
こうしたツールは、アイデアのきっかけを得る用途としては確かに便利です。
普段自分では思いつかない単語の組み合わせや雰囲気を知ることができるので、「ネタ切れの打開策」として使うならアリだと思います。
しかし、本気のバンド名を決める方法としてはおすすめできません。
理由はシンプルで、ツールから出てきた名前はどうしても「借り物感」が出てしまい、ファンから“手抜き”に見えてしまう可能性があるからです。
仮にインタビューでバンド名の由来を尋ねられた際、誇りを持って答えることができるでしょうか?
「ツールで決めるのも、逆にあり」といった尖った個性が感じられるのはかなりレアケースでしょう。
- 同じような名前が世の中に大量に存在する
- バンドの世界観や音楽性とズレやすい
- 「ツールで決めたんだな」と思われると熱量が伝わらない
バンド名はブランディングの核。
せっかく音楽に魂を込めるのなら、名前もメンバーで議論して、自分たちだけの物語を込めるほうが絶対に強いブランドになります。
どうしても思いつかないときは、バンド名メーカーを参考にしてもいいですが、最後は必ず「自分たちで決める」ことを忘れないでください。
筆者の失敗談。わかりにくいバンド名
ところで筆者が以前やっていたバンドは「Rundaban Spoiler Party(ランダバンスポイラーパーティー)」というバンド名でした。
これはマーケティング的に最悪でした(笑)
- 長い
- 覚えづらい
- 検索めんどう
- 文字入力めんどう
- 言いづらい
と悪い意味で何拍子もそろっています!
これは実際にライブハウスで応援してくれていた人たちにも迷惑かけました(笑)
「ラン"バ"ダン」っていう間違いは定番だし、何回も聞き直される…。
人にも説明しづらいですよね。
ぜひ、上記の「バンド名の決め方」を参考に、人から人、メディアからメディアに伝播しやすいバンド名を考えてみて下さい。
【参考】有名なバンドの名前の由来と決め方
実際に有名なバンドの由来を見てみましょう。
リスペクトするバンドがいるなら、同じ決め方を採用するのもアリかもしれません。
英語のバンド名
- Mrs. GREEN APPLE:青リンゴ=未熟で成長中の象徴。「Mrs.」をつけて中性的で洒落た響きに。
- YOASOBI:「夜遊び」=昼はそれぞれの活動、夜は一緒に音楽を“遊び心で”作るユニット。
- ELLEGARDEN:「ELLE」の知的さ+「GARDEN」の馬鹿馬鹿しさを組み合わせ。
- RADWIMPS:「rad(すごい)」+「wimp(弱虫)」=“かっこいい弱虫”。
- ONE OK ROCK:練習が午前1時(one o’clock)から→OK ROCKに言い換え。
- Base Ball Bear:Chocolatの曲名から「BASE BALL」に「BEAR」を追加。
- the telephones:ライブハウスのマスターが電話中に「お前らテレフォンズな」と命名。
- THE BAWDIES:「The Bawdy Blues(ざれ歌)」から。
- Mr.Children:「Children」+大人を意味する「Mr.」。幅広い世代に届く意味を後付け。
漢字のバンド名
- 東京事変:「ここに集まっているのは事件だ」から。
- 相対性理論:ボーカルやくしまるえつこの父親が科学者だった影響。
- 凛として時雨:「凛として」+「急に降る雨=時雨」。
- 椿屋四重奏:「椿屋カルテット」から→より格式高く「四重奏」に。
- 藍坊主:前身バンド「ザ・ブルーボーズ」→「藍」+「坊主」に改名。
ひらがなのバンド名
- くるり:地下鉄の矢印「くるり」から。
- ねごと:覚えやすい3文字+「寝言=なんでもできる」の意味。
- ゆず:タバコ銘柄名から変更、バイト先で食べた柚子シャーベット由来。
- いきものがかり:小学校の係活動「生き物係」から。
かっこいいバンド名
- ASIAN KUNG-FU GENERATION:3単語ルール+「海外で驚かれる名前」。
- フジファブリック:実家の会社「富士ファブリック」から。
- BUMP OF CHICKEN:「臆病者の反撃」の造語。
- 9mm Parabellum Bullet:数字を入れたかった+武器好き→偶然のひらめき。
- [Alexandros]:旧名[Champagne]から改名、川上洋平のひらめき。
- andymori:Andy Warhol+Memento mori。
- SEKAI NO OWARI:人生のどん底から「終わりから始めよう」。
- クリープハイプ:映画のセリフなどを組み合わせ。
かわいいバンド名
- チャットモンチー:「モンチー」を入れたくて辞書から「チャット」を追加。
- JUDY AND MARY:ポジティブな「JUDY」とネガティブな「MARY」を対比。
- SHISHAMO:魚の「ししゃも」=響きが可愛い&漢字だとカッコいい。
- たんこぶちん:リーダーの頭に突然浮かんだ言葉。
おもしろいバンド名
- 踊ってばかりの国:女性バンドの曲名から。
- 赤い公園:「公園」を使いたくて→被り回避で「赤い公園」に。
- 毛皮のマリーズ:寺山修司の戯曲から。
- 忘れらんねぇよ:失恋の強い思い出から。
- THE★米騒動:「一番ダサい名前にしたい」から。
- 水中、それは苦しい:300案の中で一番メンバーが爆笑した案。
- ヤバイTシャツ屋さん:大学の会話のノリから。
FAQ|よくある質問
もちろん可能ですが、それにはコストとリスクがつきものです。既存のファンに名前の認知があるなら、変えることで混乱を招くことがあります。グッズ・配信先アカウント・SNSフォロワーなどを見直す必要があるので、「本当に今の名前でやっていくか」のチェックは怠らないほうがいいです。
どちらもメリットとデメリットがあります。日本語は親近感があって発音しやすく、国内ファンに伝わりやすい。英語は国際性が感じられたりクールな印象を与えたりできます。ただ、重要なのは「ターゲットとする聴衆」「活動地域」「音楽のジャンル」とマッチしているか。両言語ミックスや造語も有効な手段です。
はい、かなり有効です。略しやすい名前があると、ファンの間で呼びやすくなったり、SNSでタグ付けされやすくなったりします。例:アジアンカンフージェネレーション → アジカン、Mr.Children → ミスチル。略称が使われそうな形か、略したときに変な意味にならないかもチェックしておきましょう。
できれば避けたほうがいいです。同じ名前だと表示検索で埋もれたり、混同されたりすることがあります。商標登録されていた場合、法的問題が生じることもあります。ただし、同名だけどジャンル・活動地域・ファン層が大きく違うなら影響が小さいケースもありますが、それでも慎重に判断することをお勧めします。
実際に複数人に言ってみて聞き返されるかどうかを試してみるのが一番です。加えて、友達に音声で聞かせて「なんて言った?」と聞き返してもらうのもいい方法。音声入力でも誤変換されるかを試してみると、思わぬ盲点が見つかることがあります。
まとめ|バンド名は理想へのファーストステップ
バンド名は単なるラベルではなく、自分の音楽を広めるためのブランディングの起点。
- 覚えやすさ
- 検索のしやすさ
- 音楽性やビジュアルとの一貫性
この3つを意識して決めることで、ファンに愛され、自然と広まる名前になります。
世の中の有名バンドも、偶然のひらめきや遊び心から名前を得ています。
あなたのバンドにとっても、「これしかない!」と思える名前に出会えるはずです。
ぜひこの記事を参考に、未来のステージにふさわしいバンド名をつけてみて下さい!