この記事は音楽イベンターのナカヤママリコさんに聞いてきた話をインタビュー形式でお届けします!

 

音楽イベントってどうやって作るの?

どうしてイベンターをやろうと思ったの?

 

あまり表に出ることのない、ライブハウスの舞台裏の話。

「自分は舞台に立てないけど…バンドマンを支える仕事をしてみたい!」

そんな方には参考になる話がたくさんあると思いますよ!

 

チャンス

音楽イベンター ナカヤママリコ

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山梨県出身 1982年生まれ

大学入学と同時に上京。

軽音サークルに入り、バンドとライブハウスにハマる。

 

最盛期は1年に130本以上もライブに足を運び、卒業後は自身でも音楽イベントを企画運営をするように。

その後、好きがこうじていくつかのライブハウスでスタッフとして働く。

 

山梨に戻った後は音楽から離れた生活を送るが、数年前に音楽への情熱を再確認し、2016年から再び音楽イベンター業を再開。

2017年6月22日に「下北沢ろくでもない夜」で復活後初の東京イベントの開催を予定している。

 

今日は音楽イベンターという仕事について根ほり葉ほり聞いちゃいます!
よろしくお願いします。

こちらこそよろしくです!




まず音楽イベンターってどんな仕事?

まず音楽イベンターさんってどんな仕事をしているですか?
音楽イベントがどのように出来上がっていくのか、わからない方も多いと思います。

私の場合は、
1,日程を決めてハコ(ライブハウス)を抑える(5ヵ月前)
2,出演して欲しい出演者をリストアップし、出演交渉(4か月前)
3,チラシや自身のブログでの宣伝活動(3か月~当日)
と言った感じで仕事が進んでいきます。
あくまで私の場合で、もっとたくさんのイベントを抱えている方は全体的なスパンは短いと思います。

あとは細かい仕事もあって、
・セッティングの時間を考えて、音響スタッフと相談しながらタイムテーブルを決める →出演者、ライブハウスに連絡
・出演者さんに当日のセッティング(使う機材や立ち位置等)を確認→音響と打ち合わせ
・チケット作成(作ってくれるライブハウスが多いですが。)
・当日お客さんに配るプログラム(出演者の紹介等)作成なども並行して順次行っていきます。

へ~、かなり前から準備するんですねぇ。
それに細かい仕事も多い!(笑)
それらの準備を経て、イベント当日はナカヤマさんはどんな動きをしているんでしょうか?

ざっくりと当日の仕事をまとめるとこんな感じです。
(これはイベントスペースで開催した際の様子ですね。ライブハウスだともう少しやることが少なくなります。)
・ごく簡単なケータリングの用意
・出演者さんが到着したら挨拶&本番のセットリスト(音響・照明の要望など)と予約リストを記入していただく
・受付と撮影スタッフ(自分で手配)と打ち合わせ
・司会(自分)と転換のタイミングを出演者さんと打ち合わせ
・折込(受付で配るチラシ)の作成
・リハーサルの進行状況を確認
・リハーサルが終わったら出演者さんとスタッフで顔合わせ(改めて各々の紹介や連絡など)
・会場準備(お客さんが入れる状態に片付け・受付準備など)
・オープンしたら、スタート少し前までは受付スタッフと一緒にお客さんをお出迎え
・終演までに受付の集計を確認
・山梨で開催した時は、自分が好きで出ていただいた方々を自分で紹介したくて、初めて司会をやりました。

噛み噛みでしたがやってよかったです!!(笑)

色んな仕事がある中で特に苦労とか難しさはありますか?

う~ん、やっぱり出演交渉は毎回頭をなやませますねぇ。
お金のことも当然話さないといけないので神経質になります。

あと山梨でイベントを開催した時は、音響設備や諸々のスタッフさんが常駐していないハコだったので、それらの手配にはかなり苦労しました。
そこは演劇もやったりする場所なのでライブハウスではないのでそれが当たり前なんですね。
その時はもう、なんでも揃ってるライブハウスって最高!って思いました(笑)
ですが、機材をイチから手配することはすごく勉強になりました!

あ~、たしかに。
ぼくも自分たちでスタジオライブとか考えたこともあったんですけど、諸々考えると実はライブハウスの方がコスパよかったりしますよね。

あとバンドマン的な質問なんですが、「こんなバンドを呼びたい!」とか「こんなことをバンドがしてくれたら嬉しい」っていうのはありますか?

そうですね~、やっぱり積極的に宣伝をしてしてもらえると嬉しいです。
twitterでRTしてもらえたり、Facebookでシェアしてもらえたり、それだけじゃなく、ご自身のブログ等でイベントのことを書いてもらえるのはありがたいです!!
バンドさんってやっぱり色々都合があって、他のライブがあるのもよくわかるので余計にうれしくなりますね。

「こんなバンドを呼びたい!」っていうのは実はあまりないです。
っというのも私のイベントは「自分が本当に良いと思ったアーティストに出演をお願いする」というのが鉄則でそれが唯一のルールなんですね。
やっぱり自信を持ってイベントをおすすめしたいので。
まあ、当たり前のことなんですが。

かつての自分を救ってくれた「居場所」をまた作りたい

なるほど~、ぼくもバンドマンとして自主企画をやった経験があるのでイベンターさんの苦労はなんとなくわかるんですよ。
やっぱり大変なことも多いですよね。
そんな中、ナカヤマさんが音楽イベンターでありたい理由とか、やりたいと思ったキッカケってなんなんでしょう?

学生時代にとあるイベントで、「今日は私が企画しました!」という女性の方が現れて。
もちろんライブハウスのスタッフじゃなくて全然関係ない人。
その時初めて「あ~、もしかしたら自分でも音楽イベントできるのかも」と思いました。
年に100回もライブを見ていると、まぁやっぱりちょっと疑問に思うブッキングライブもあるじゃないですか?(苦笑)
だったら自分でやっちゃえ!というのが最初のきっかけでした。

その時の気持ちは今も変わってないですか?

そうですね。
基本的には変わってなくて、その気持ちが「自分が本当に良いと思ったアーティストに出演をお願いする」という基本原則につながっていますね。
でも今はちょっと別の理由も出てきています。

別の理由と言うとなんでしょう?

あの~、私おおげさに言うとライブハウスとアーティストがつくるコミュニティに救われたんです。
ちょっと話すのが恥ずかしいのですが、10代はホント暗い子で。
親は愛情でもって勉強を頑張らせてくれたんですが、高校生になってまわりについていけなくなり、自信を失いました。
でも大学に入って知ったライブハウスがなんだか自分の居場所に思えて、とても楽しかったんです。
その時出会った人たちやアーティストはホント宝物です。

うんうん、なんかわかりますねぇ。

それも多分、一度離れたから気づけたことで。
山梨に帰ってから普通に働いていたのですが、なんだかずっと違和感がありました。
ある日地元のちょっと大きな公園で音楽イベントが開催されていて、それは地元山梨のバンドが主催しているイベントでした。
その時の私はライブを見るのも久しぶりだったんです。
山梨の自然の中で、本当にみんなが伸び伸び音楽を楽しんでいる風景が広がっていて…。
その瞬間に「ああやっぱり音楽っていいなあ、ライブっていいなあ、またイベントをやりたいなあ、よし、やろう!ブランクがあるけど、多分できる!」と思ったんですよね。
どうにかもっと好きなことをしていたい。
またあのコミュニティをつくりたい。
そう思ってまた挑戦を始めました。




「好きなことをする」という生き方

一度音楽から離れて再びその世界へ。
するとリアルな生計の部分はどうなっているんでしょうか?
「好き」と「生活」の折り合いのつけ方って誰もが悩むところだと思うで、言える範囲で教えて下さい。

私は2017年春にもっと音楽イベンター業に集中したいという理由で、現在お世話になっている職場での待遇をアルバイトに変えさせてもらいました。
現在はアルバイト含め、音楽イベントやブログなど多角的な収入の確保を目指しています。

お~、それは勇気ある決断ですね。

まぁ、でも失敗しても死なないかな?って(笑)
実際に、
1,実家暮らしなのでアルバイトでも十分生きられる
2,親は自営業でもしもの時の働ぎ口も一応ある
という自分の環境を考えた時に、挑戦しちゃいけないこともないなと思いました。

では今は不安はないですか?

そうですね。
漠然とした将来の不安はなくなりました。
「このまままで良いのかなぁ…」ってウジウジすることはなくなったので良かったです。
いや、「イベント成功するかな~?」ていう音楽イベンターとしての不安はありますよ(笑)

それはポジティブな不安ですよね(笑)
ナカヤマさんがその決断を下すにあたって何か役立ったこととか、勉強になったこととかあるんでしょうか?

まず1つキッカケをくれたのが、カメライターのかさこさんの「かさこ塾」です。
それはまさに好きを仕事にするというテーマだったのですが、その中でとにかくブログを書こう!と教えてもらいました。
で、始めたのが「はてなブログ」です。
はてなブログはつながりが作りやすいブログサービスで、特にミニマリストのコミュニティが好きでよくブログを読んでいました。
するとミニマリストの方々ってちゃんと自分の「好き」を大事にしている方が多くて、自然と私も影響を受けるようになりました。
特に好きて読んでいるブログは「よのすけ.com」とか「A1理論はミニマリスト」とかですね。
おすすめです。

あ、それはぼくも好きなブログです(笑)




こんな人と一緒に仕事したいよね!

今回、ナカヤマさんに話を伺ってみてぼくはイチバンドマンとして「あ~、やっぱりこういう人と一緒に仕事したいよな!」と思いました。

 

愛情があって本気の人。

仕事変えるくらいですからね!(笑)

間違いなく本気です。

 

これからの小規模ライブハウスにはこんな人が求められると思うんですよね。

イベンターはもとより、様々な音楽をスキルをもった人材がアウトソースで利用できるようになると増々バンドマンは音楽に集中できる環境になっていくと思います。

 

ナカヤマさんのような人がライブハウスシーンで発信力や影響力をもつ…。

それは間違いなく幸せな世界ではないでしょうか?

 

今回は音楽イベンターの紹介でしたが、その他の音楽業界の仕事はこちらで紹介しています。

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