ライブMCの例文と台本!上手になるコツは?【バンド向け】

「ライブのMCがうまくいかない…」「何を話せばいいかわからない…」
ライブMCは、演奏よりも“人間味”が伝わる瞬間。
でもだからこそ、多くのバンドマンが苦手意識を持っています。
実はMCは、センスやお笑い力ではなくコツと準備で“確実に良くしていける”技術です。
この記事では、
- すぐ使えるMCの例文
- 30分ライブ用の台本構成
- 苦手を克服する考え方
を、バンド歴10年以上の筆者が実体験をもとに紹介します!
ライブMCとは?役割と基本の考え方
MCは「Master of Ceremonies(マスター・オブ・セレモニー)」の略で、日本語に訳すと「司会」です。
つまり、ライブMCとは“ライブの進行役”。
多くの人が「MC=トーク」だと思いがちですが、本質は違います。
芸人さんのエピソードトークや、ましてや「すべらない話」ではないので、気負わず考えて大丈夫です。
MCはお客さんとの距離を近づけ、ライブ全体の流れを円滑にする“演出”のひとつ。
まずは「それっぽいMC」を知っておいて、使えるように準備しておきましょう。
MCの例文・ネタ
ライブのMCは、タイミングや内容で印象が大きく変わります。
ここではシーン別に5つのパターンを紹介します。
まずはそのまま使ってもOK、慣れたら自分の言葉にアレンジしてみてください。
あいさつ・自己紹介系(オープニングMC)
ライブの最初は、会場の空気をほぐすことが最優先。
まだ観客との距離がある時間帯なので、短くて明るいあいさつを心がけましょう。
「はじめまして!〇〇から来ました、△△です!」
「今日は最後まで楽しんでいってください!」
「声、出していこうー!」
ポイント:
- 最初から笑いを狙わない。
- バンド名・出身地・意気込みの3点セットで十分。
曲のエピソード系(曲紹介)
曲の背景や制作エピソードを軽く話すだけで、聴き手の集中度が上がります。
ただし長くなりすぎないように注意。
「次の曲は、僕たちが初めて作った曲です。初心を思い出して演奏します!」
「この曲は、上京して最初の夜に書いた曲です。」
「誰にでも“うまくいかない時期”ってあると思うんですけど、それを音にしました。」
ポイント:
- 感情を伝えるより「背景を共有する」意識で。
- メッセージ性のある曲なら短い導入が効果的。
お客さんに話しかけるMC(盛り上げ・転換)
ライブ中盤で会場を温めたいときや、テンポを変える曲前に使えるMCです。
観客との“キャッチボール”を意識しましょう。
「楽しんでますかー! まだまだ声出せますかー!?」
「今日は平日なのにありがとう! 明日仕事の人ー?」
「ここからちょっとテンポを落として、ゆっくり聴いてください。」
ポイント:
- 反応が薄くても焦らない
- ドラムのリズムパターンの上でMCするのもアリ
イベント・対バンに感謝を伝えるMC(終盤)
ブッキングしてくれたイベンターや対バンのバンド仲間に感謝を伝える内容もおすすめ。
シンプルなMCですが、確実に空気が良くなるでぜひ使いたいネタのひとつです。
「今日呼んでくれた〇〇(主催バンド)ありがとう!」
「一緒に出てくれたバンドのみんな、そして見てくれてるお客さんに感謝です!」
「対バンするたびに刺激をもらってます。本当にありがとう!」
ポイント:
- お礼は「短く・はっきり・明るく」が基本。
- 対バンひとつだけ触れるなら主催。2バンド以上触れるなら全バンドに触れる
告知MC(終盤・クロージング前)
ライブ終盤では、次の活動や音源などをさりげなく告知。
ただ「買ってください」など直接的すぎる表現は避けたほうが無難です。
「来月、新しい音源を出します! 今日気に入ってくれた方はぜひチェックしてください!」
「次のライブは〇月〇日、またこの場所でやります! ぜひ遊びに来てください!」
「SNSでも活動報告してるので、よかったらフォローしてください!」
ポイント:
- 宣伝より“お知らせ”の気持ちで伝える。
- 熱量をキープしたまま次の曲へ。
- 曲紹介と重ねて自然に言うとスムーズ。
MC台本の作り方と構成例(6曲30分ステージ編)
ここでは、30分・6曲構成のライブを想定して、
どこでどの種類のMCを入れると自然に流れるかを具体的に説明します。
MCの内容は、これまで紹介した「あいさつ・自己紹介」「曲のエピソード」「お客さんに話しかける」「告知」から選びます。
概ね以下のような構成がベターです。
- 1曲目
- あいさつ・自己紹介MC
- 2曲目
- 曲のエピソードMC
- 3曲目
- お客さんに話しかけるMC
- 4曲目
- 5曲目
- 告知MC
- 6曲目
1曲目|オープニング曲(勢いのある代表曲)
→ 曲終わりで息を整えながら「あいさつ・自己紹介MC」へ
あいさつ・自己紹介MC
「はじめまして!〇〇から来ました、△△です!
今日は最後まで楽しんでいってください!」
2曲目|キャッチーなナンバー
→ 会場の空気が少し和らいできたら、「曲のエピソードMC」へ
曲のエピソードMC
「次の曲は、上京して最初の夜に書いた曲です。
まだ右も左も分からない頃の気持ちを込めて演奏します。」
3曲目|ミドルテンポの聴かせる曲
→ 曲終わりに「お客さんに話しかけるMC」を入れて転換
お客さんに話しかけるMC
「楽しんでますかー!? まだまだ声出せますかー!?
ここから少しテンポを上げていきます!」
4曲目|盛り上げ曲
→ 会場のテンションを引き上げるブロック。MCは挟まず勢いでつなぐ。
5曲目|しっとり曲(告知前)
→ 曲の余韻を少し残して「告知MC」へ
告知MC
「来月、新しい音源をリリースします!
そして次の曲で最後になります。
今日楽しんでくれた方は、また会いに来てください!」
6曲目|ラスト曲
【ポイント】
・MCは3〜4回、1回のMCは数十秒ほど。
・あいさつ→エピソード→呼びかけ→告知という流れで自然な構成になる。
・ステージに慣れてきたら、アドリブを1つ加えるだけで“生きたMC”になります。
ライブMCがうまくなるコツ・注意点
① 最後の曲から構成を考える
ライブは「どう終わるか」で印象が決まります。
最後にどんな言葉を残したいか、そのためにどんな流れを作るかを逆算してMCを組み立てましょう。
② 台本はあくまで補助ツール
台本は便利ですが、完璧に覚えようとすると逆に不自然になります。
話の流れだけをメモしておき、アドリブやその場の反応も大切に。
③ お客さんが少ないときは冷静に
観客が少ないと焦って空回りすることがあります。
そんなときはMCを短めにして、1曲多く演奏するくらいの切り替えが◎。
紹介した例文でいうと「お客さんに話しかけるMC」は削除する候補です。
④ ボーカル以外のパートも無視しない
バンド全体でMCを支えましょう。
うなずき、拍手、楽器の音でも“会話”はできます。
主にMCを担当するボーカルの話に他のメンバーが「関係ないやー」と無視したような態度を見せると、ボーカルがより”スベった”雰囲気になります。
ステージに立つ仲間として、同じ空気を共有しましょう。
⑤ ハキハキと話す
いわゆる「陰キャ」のバンドマンもいるはずですが、”自信なさげ"な印象はNG。
お客さんはお金を払って見に来てくれているので、少なくともプロとして胸を張ってくれないと損した気分になります。
MCが上手なミュージシャンの実例
最後に、実際にMCがうまいアーティストを紹介します。
動画も見ながら、言葉選びや間の取り方を研究してみましょう。
10-FEET
「これぞ!ロックバンドのMC!」と言えるのが10-FEETのライブです。
やるならこんなMCをしてみたい、憧れのMCでしょう。
THE☆バリュー兄弟
テンポの良い掛け合いと、ライブ全体を「ひとつのショー」としてまとめる構成力が光ります。
さだまさしさん
”MCだけのCD”を出してしまうほどの達人。
「MCで笑いを取る必要はない」と言いつつ、さだまさしさんのMCは教養として知っておきたい。
ワタナベフラワー
『ライブMCの教科書』著者クマガイタツロウさんの実践例。
言葉の選び方があたたかく、観客との一体感づくりが秀逸です。
おすすめ書籍
ライブMCに特化した数少ない専門書籍です。
2014年の発刊ですが、それ以降もめぼしい書籍は発売されていません。
MCをもっとうまくなりたい人は、読んでおいて損はないでしょう。
まとめ|MCはライブの一部。気負わずベターなMCからはじめよう
MCはトークスキルではなく、ライブセットリストの一部です。
まずは例文でご紹介した「よくあるMC」のネタを覚えて、ライブで試してみてください。
ライブが盛り上がらないのはMCのせいだけではないですし、インディーズバンドで「MCが最大の武器」といったバンドは逆に珍しい。
何より楽曲と演奏力が大事なのは言うまでもないので、あえてMCに力をいれないのも考え方のひとつです。
でもだからといって、MCで損はしたくないはず。
なのでぜひ、まずはこの記事の例文と台本から始めてみてください。
関連|ライブパフォーマンスのコツまとめ
MC以外にもライブパフォーマンスのコツをまとめています。
合わせてチェックしてみて下さい。







