エッセイスト稲垣えみ子さんの新刊です。

 

この人はとってもおもしろい人で、めちゃくちゃ断捨離したり、会社を辞めてみたり、すごく真面目かつ大胆なことをします。

ある種、相当なストイックなんですね。

 

そのストイックな稲垣さんが挑戦したのが、なんとピアノ!

幼少期に挫折したピアノに50代を過ぎてから挑戦です。

 

それがまぁ、なんと苦労の連続で…。

喜び勇んではじめたピアノのはずが、その頂きの高さになんどもたじろぎ、挫折してはどうにかこうにか立ち直る。

 

わたしには大きな失敗と小さな成功を繰り返しながら進んでいく稲垣さんの姿が、やがてひとつの境地に達したように見えました。

それはあらゆる邪念を捨て、ただ純粋に音楽を向き合う姿です。

 

人はときどき「音楽って「音を楽しむ」って書くんだよ!」と知った風なクチを聞きます。

ところがどっこい、ほんとうに心から楽しむなんて、これがなかなかできるもんじゃあ、ない!

 

それこそ「売れたい、有名になりたい」と思ってやっているのが若いバンドマン、ミュージシャンです。

それがいらぬ緊張を生んだり、どこかで聞いたことのあるような流行歌に迎合することに繋がったりして、彼らを凡庸なミュージシャンへと貶めているように思えてなりません。

 

わたしは「売れたい」という気持ちが100%邪念だとは思わない。

ところが天才と讃えられるミュージシャンこそ、やっぱり邪念を捨て純粋に音楽を楽しむことを忘れないんですね。

 

だって考えてもみてください。

あなたの憧れのミュージシャンは、きっともう売れていますよね?

 

中にはもう一生分のお金を稼いでしまった人もいるはず。

それでも彼らは音楽を辞めません。

 

もちろん、ある人は責任を果たすため、ある人を地位や名声を求めて。

みんながみんな純粋ではないでしょう。

 

しかし一流を超えた超一流は、やっぱり「音」が「楽」しいからやっている。

なぜ音楽をやるのか?

 

最後の最後は、もう「楽しいから」としか言いようがない。

『進撃の巨人』に言わせれば「俺がこの世に生まれたからだ!」です。

 

得てして、そうした純粋性を獲得したミュージシャンの音楽が魅力的ですよね。

 

稲垣えみ子さんはぜんぜん音楽のプロではありません。

まして50代から本格的に習い始めたピアノです。

 

しかしだからこそ、その純粋性をすこし垣間見ることができたのではないでしょうか。

もしミュージシャンを志す、才能のある若い人が早くにその純粋性を手に入れることができたなら…。

 

それはかえって成功を早める気がします。

本書はそのタイトル通り、50代以上の人をターゲットにしている。

 

しかし読んでみると、わたしはかえって若い人に読んでほしいと思いました。

なんだかんだ、若い人が先人が「努力足跡」を知ることはすごく価値があると思います。

 

稲垣えみ子さん文章はとにかく読みやすいのも特徴。

ふだん本を読まない人も、この機会にぜひ読んでみてください!

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