ぼくは浅井健一(ベンジー)さんのファンでアルバムは全て聞いているのですが、その中でもとりわけ大好きなのがシャーベッツの「natural」というアルバムです。
長いキャリアの中で聞き逃している人もいるかもしれません。
今日はこのアルバムの魅力を語らせてください!
とりあえずシャーベッツのおさらいから。
ファンの方は読み飛ばしてnaturalについてからどうぞ!
SHERBETSとは?
まずシャーベッツのおさらいSHERBETS(シャーベッツ)とはベンジー、2番目のバンド。
ブランキージェットシティと平行して始まったソロプロジェクト「SHERBET」が前身となっています。
メンバーは浅井健一、仲田憲一、外村公敏、そしてベンジーの右腕的存在の福士久美子。
現在まで8枚のオリジナルアルバムをリリース。
シャーベッツの音楽性
ブランキーをはじめとしたベンジーのその他のバンドを「動」とするならばシャーベッツは「静」のバンド。
キーボードの福士さんの存在が大きくスケールの大きいバラードが多い。
また、早いBPMやダンスビートに頼らずに「ロックバンド的な熱量」を体現する稀有なテクニックをメンバー全員が持つ。
アルバム「natural」とは?
概要
「natural」はシャーベッツ5枚目のアルバム。
ベンジーがJUDEでの活動を始めたためシャーベッツは一時冬眠していたが、その冬眠空けに発表された。
聞きどころ
ベンジーがギターを「抑えた」ことで起きた革命!
ベンジーの楽曲構成の特徴として「ギターリフの多さ」があります。
耳に残るフックのるギターリフが1曲の中に何パターンも登場しながら、かつ美しい構成として成り立っている。
そのアイディアと編曲力はまさに掛け値なしと天才と呼ぶにふさわしい…(ウットリ)
しかし、「natural」ではそのギターリフを封印、とまではいかなくてもかなり抑えています。
「ギターの運動量が少ない」とか「手数が少ない」と表現すれば良いでしょうか?
ブランキーやユダに比べてかなりギターは地味に聞こえると思います。
しかし!
そのことである現象が起きるのです。
美しすぎるアンサンブル
特にベースラインを注目して聞いてほしいです。
ベンジーがシンプルなギターフレーズを繰り返す中で仲田さんのベースが非常に個性的なベースラインで「歌って」います。
個人的にベースが全体のアンサンブルの質を決定付けるキモだと思っています。
ベースの展開が全体のアレンジをひっぱり、ドラムがそれに呼応する。
キーボートとコーラスが世界観を作り、ギターが「ここぞ!」という場面で登場する。
ヴォーカルは甘い歌声で淡々と語り、そのリリックは言わずもがな、日本最高峰の歌詞…!
注意して欲しいのは「美しい」というのは単にシャーベッツの「文学的世界観」を表しているわけではないということ。
「美しすぎるアンサンブル」とは音楽的な話で、それぞれの楽器があるべき姿で鳴り、かつ極上の個性が味わえるように響いていることです。
「natural」並みに美しいアンサンブルを持ったアルバムは、海外だとレディオヘッドの「OKコンピューター」ストロークスの「ルーム・オン・ファイア」日本だとゆらゆら帝国の「空洞です」など数えるほどだと思います。
「想像力」を基にしたアレンジ
1曲目の「フクロウ」からその想像力が爆発します。
ベースからはじまり、ゆっくりとキーボードが立ち上がるイントロ。
タイトルの「フクロウ」とイントロだけで一気に聞く者を「森の中」へと誘います。
聞いていただくのが一番いいのですが、ちょっと「数学的」に音楽を捉えていては考えつかないようなイントロなのですね。
「どうやって作ったか?」を考えると本当に「???」となりますw
誰かを参考にしたとは思えない「どこにもない音楽」が広がっていますから。
現在の自分の結論だとその基になっているのは「想像力」ではないかと思っています。
「売れていない」ことに憤っております
正確な数字はわからないのですが同時期に発売されたJUDEのアルバムのほうが売れたそうです。(それはそれで良いのですが 笑)
上記したとおり、正に日本の「金字塔」であるアルバムだと確信しています。
今更「売り上げ」という評価を得ることは難しいですが、せめて音楽ファン、ミュージシャンにはその価値を知っていてほしいと思ってこの記事を書いた次第です。
生意気をお許しくださいませ。
でも、損はさせません。「一生付き合えるアルバム」だと思いますので是非、お手にとってみてください!
その他、ブランキー関連の記事も書いています。
特に地方の方はなかなか足を運べないベンジーのカレー屋、照井さんの服屋の記事はおすすめです。