バン犬
ロックバンドのライブにおける「返し」とは、プレイヤー用のモニタースピーカーから出す音です!

 

ライブ中、バンドマンたちの足音に置かれているモニタースピーカー。

ライブ用のモニタースピーカーの例

 

演奏者の方を向いています。

このスピーカーから自分たちが演奏している音を出すことで、バンドメンバーがお互いの音を確認しながら演奏できるわけですね。

 

一般にモニタースピーカーから出す音を「返し」と言います。

多くはリハーサル時にそれぞれのメンバーの好みに合わせて「返し」を設定していきます。

 

適切な「返し」を作れるかどうかで、ライブの成功確率が大きく変わるといっても過言ではありません!

そこでこの記事では、100回以上がライブ経験があるぼくが「返しをつくるコツ」をご紹介していきます。

 

いまいちライブに手ごたえを感じれないバンドマンの方は参考にして下さい。

※「モニタースピーカー」とは一般にDTM用のスピーカーのことを言う場合があります。この記事ではライブ用モニターの意味でモニタースピーカーという言葉を使っています。

チャンス

ライブの返しを作るコツ①:どのマイクに、どの音が拾われているかをチェックする

一般的にライブではこのような立ち位置をとることが多いと思います。

ライブの立ち位置とマイクの位置

 

イラストを見るとわかる通り、ライブではボーカル・コーラス用のマイクの他にアンプやドラムの音を拾うためのマイクもセッティングされています。

なので、位置によってはそれぞれのマイクが想定と違う音を拾ってしまう場合があります。

 

例えば、ボーカルのマイクにドラムの音が拾われてしまう場合。

モニターでボーカルを指定して返しても、同時にドラムの音も返ってきてしまうことになります。

モニターで音が被る現象

 

ですから、

 

ボーカルをめいっぱい返してもらっているのに、いつまでたっても歌が聞こえない…!

 

なんて事態にもなりかねません。

対策としては「ボーカルマイクを下または上にむける」など、拾ってしまっている余計な音を避ける位置・角度にマイクを調整する方法があります。

 

ライブで使われている多くのマイクは「単一指向性」のダイミックマイクで、いち方向の音を拾うようにできています。

なので、返しの中で音のカブリが気になる場合はマイクの位置を調整することを試してみて下さい。

中には大胆にアンプを外側に向けて、マイクとアンプを孤立させるようなポジションをとる人なんかもいますよ。




ライブの返しを作るコツ②:バンドの「帯域」を整理して、マスキングに気を付ける

音には「ドレミファソラシド」といった音階や、単に音が大きい・小さいという音量の他に、帯域という要素があります。

 

\音の要素/

  1. 音階
  2. 音量
  3. 帯域←CHECK!

(帯域は音の「重さ」と説明したら良いのかな?)

 

同じ音階の音でも「ハイ(高域)」を強調するか「ロー(低域)」を強調するかで聞こえてくる音が違ってきます。

そして同じ帯域にいる音を同時にならすと音量が大きいほうだけが聞こえます。

これがマスキングという現象です。

 

本来、別々の帯域にいるべき音が被ってしまっている。

そんな状態で音を出すとマスキングがおきて、どんなにモニターを調整しても聞き取りづらいのです。(もちろんお客さんにも!)

バンドの帯域を表すイラスト
帯域を整理しよう

 

帯域に関しては「これが正解!」というのは伝えずらいのですが、おおむね、まずは一番下にドラムのキック、その上にベース。

中域にドラムのスネア、ボーカル、ギター。

その上にドラムの金物やリズムギターのアタック音といった感じです。

バンドの正しい帯域の例
※帯域を整理する例

 

まずはキックとベースの関係性を意識するとわかりやすいですよ。

よりシビアなのはボーカルとギターのマスキングです。

ギターの帯域がボーカルに被って歌が聞こえない、とかはよくある失敗ですので注意してみて下さい。

 

また、楽曲のアレンジそのものを見直すことも必要になるかもしれません。

「ドラムがガシャガシャとシンバル類を鳴らし過ぎて、ギターソロをマスキングしていないか?」「ギターのフレーズが多すぎて、ボーカルをマスキングしていないか?」などなど思い当たるフシはないでしょうか?

 

帯域を考えたアレンジ・プレイをすることで、楽曲の迫力も変わってきます。

ライブの返しを作るコツ③:安定した演奏(音量)ができるように練習する

さて、マイクのセッティングもOK、帯域も揃えた…と、ここまでやっても上手に「返し」が作れない場合があります。

 

それはそもそもプレイヤーが安定した音を出せていないという時です。

特にドラムとボーカルですね。

 

ギターとベースは音量をアンプやエフェクターで一定に保つことができます。

ですが、ドラムとボーカルは自らの技術でもって音量を調整なければいけません。

 

マスキングは音量の大きい方だけが聞こえるという法則があります。

なので、例えばドラマーの音量が安定していない場合「この曲ではマスキングしないけど、この曲ではしてしまう」なんてこともあり得ます。

音量を安定させよう
ドラムの音量が安定してない結果

 

また、ボーカルの声量がいちじるしく小さい場合、ライブPAさんは小さい音でもマイクで拾えるように調整します。

すると、結局他の音も拾いやすくなってしまうので、これまた「返し」に色んな音が混ざってしまうというわけです。

 

ボーカルの場合はマイクにできるだけ口を近づけて歌うなど対処法はありますが、それもその場しのぎのもの。

やはり安定した声量が出せるようにトレーニングすることが重要です。

 

PAさんはリハーサルでバンドメンバーそれぞれの音量に合わせてマイクレベルを調整してくれています。

本番で力んで音が大きくなるというのはよくあることですが、リハーサルからしっかり安定した音量で演奏するようにしましょう。




ライブの音作りをもっとマスターする方法

以上、ライブの「返し」を作るコツとして、

 

  1. マイクの音カブリ
  2. 帯域(マスキング)
  3. 安定した演奏

 

に、気をつけよう!という話でした。

参考になったらうれしいです。

 

ぼくたちバンドマンがやっている軽音楽という世界では、音階は理論的に整理されています。

機械を使って正確にチューニングできますし、ギターやベースにはフレットがある限り音階を外すという心配がありません。(バイオリンにはフレットがない=演奏者に正確な音感が必要)

 

だからというわけではありませんが、「音量」「帯域」といったその他の面までもおろそかにしてしまいがちです。

むしろ小さなライブハウスで演奏するバンドマンの方が「音量」や「帯域」の感覚を養うことが大切かもしれません。

 

今回ご紹介したコツ以外にもライブの音作りはさまざまなことに気を付ける必要があります。

ぜひ「バンドマンが知るべき100の秘訣 PAエンジニアから見たバンドの音作り」という本も読んでみて下さい。

 

現場のPAさんが音作りにクリティカルに効いてくるコツをわかりやすくアドバイスしてくれています。

 

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