夢と現実はその世界をハッキリと分かつもので、決して両者は交わることがない。

ぼくも「生きていくためにはしかたない。」と創作を辞めていったミュージシャンやバンドマンを数多く見てきました。

 

ところが、今ではクリエイターの創作を支援するツールやSNSによって、個人のクリエイティブ業がかつてないほど簡単に成立する世の中になってきています。

けれど一方、インフルエンサーたちが発信する「これからは個人の時代!」という意識高い情報を信頼できず、疲弊し、いつのまにかクリエイティブのエネルギーを損なう。

そんなシュールな現状が今のクリエイターを取り巻く世界にはあるような気がしてます。

 

「厳しすぎる現実」と「地に足がついていない夢」。

そのどちらも選ぶことができず、ぼくたちクリエイターは情報の海を日々、右往左往する。

 

スターやカリスマのように振舞わうことをせず、ただ淡々と「好きなこと」で生計を立て、生きていくことはできないのか…。

ぼく自身、そんな風に悩みを深めていた時、ふと読んだのが『無駄なことを続けるために』という本でした。

 

藤原麻里奈さんという「無駄づくり」を生業とするクリエイターが書いた本で、自身がいかに「無駄づくり」を仕事に変えていったのか、その過程が紹介されています。

ぼくはここに「夢」と「現実」を混ぜ合わせるヒントを見た気がしました。

 

藤原麻里奈さんとは?「無駄づくり」クリエイター

藤原麻里奈さんはYouTubeをベースに「無駄づくり」という発明を発表しています。

いわゆるYouTuberですね。

 

元々は芸人を志し、吉本興業の養成所「NSC」に入学。

見事、吉本所属となりましたが、芸人としてはなかなか目が出ない日々…。

そんな時に会社からの誘いでYouTuberをはじめ、無駄づくりを始めたそうです。

 

無駄づくりとは、例えばこんなの。

寝かしつけてくれるマシーン | 無駄づくり

 

うん、これは無駄ですねw

なんとこんな無駄なモノ(←褒めてる)を作り続け、それを仕事にしてしまったと。

 

クリエイターの孤独な葛藤が表現された内容

好きなことを仕事に!系の本はたくさんありますが、ぼくがこの本で特に感銘を受けたのは「クリエイターの孤独と悲哀」が描かれていたからです。

芸人からYoutuberへと鞍替えする時の葛藤。

しばらくは芸人と「無駄づくり」の活動を並行して行っていた。舞台では客席がシーンと静まり返ってしまうけれど、YouTubeでは、「面白い」とコメントが付く。それでも、芸人を辞める踏ん切りがつかなかったのは、やはり憧れと執念が消えなかったから。まだ芸人としての才能を信じていたかった。

事前に才能を知る方法なんてもちろんなく、ある程度努力してからしか分からない。なんだか残酷だ。才能のなさに気づいてもタイムマシンを使って後戻りすることなんてできなくて、その事実を自分の中で受け止めて前進しなくてはならなかった。

それに、何かを始めたらプライドや執着が生まれる。『夢を諦めるのも才能だ』という言葉があるが、努力を積み重ねてきたものを簡単には手放せない。

「過去を捨てて今を生きる!」なんて景気よく言えるのは一部のハートが強いインフルエンサーみたいな人たちだけで、普通の人たちは葛藤や矛盾を抱えて生きているもの。

ぼくはそういうった普通の人の言葉を信頼します。

 

Youtuberなんかは特にそうですが、”ひとりクリエイティブ”は結果が出るまで長い時間がかかるもの。

「第一章 まずは「作る」ことがはじめる」と「第二章 ぼんやりとした思考を「わかる」」は同じクリエイターが読むと励まされる内容になっています。

 

「無駄づくり」の戦略

「第三章 分かりあうには「見せる」」では藤原さんのネット戦略が披露されています。

藤原さんはYoutuberと言いましたが、実は無駄づくりをツイッターやブログでも発表しています。

 

藤原さんが利用している

  • YouTube
  • ツイッター
  • インスタ
  • ブログ

それぞれの使い方やすみ分けを解説してくれています。

 

特に参考になったのは「拡散する」の項で、多面的なつながりを持つことの重要性を語った部分です。

様々なコミュニティに顔を出すことで拡散がされやすくなると言います。

私は、いくつものコミュニティに飛び込んでいる。お笑いもそうだか、ものづくりだったり、Youtuberだったり、ライターだったり。そういったコミュニティの一員になることで、横のつながりができ、「無駄づくり」を知っておもしろがってもらえたら、その人たちが自然と友達にシェアしてくれる。

 

SNSといっても、その実態は人のつながりを可視化したものに過ぎませんよね。

丁寧に人とのつながりを作っていくことで、いつのまにか作品が届きやすい環境ができあがっているようです。

 

「見せない仕事」を作り、好きなことを自由にする

ネットではしばしば、

「好きなこと一本でフリーランスになるべき!専業!」

VS

「いやいや、副業だからこそおもしろくて好きなことができる!兼業!」

といった論争が行われます。

 

専業になればたしかに「好きなこと」に集中できる。

しかし、好きなことを仕事にすると、生活のために妥協した仕事をしなければならず「好きなこと」がいつのまにか好きでなくっていく…。

 

藤原さん自身は吉本の所属であれど、自分で仕事をとってくることも多いフリーランスのような存在です。

バイトを辞めて、専業になった今では無駄づくりはただのビジネスなのでしょうか…?

いや、そうではなく、藤原さんはこの矛盾を「見せない仕事」をすることで解決しています。

 

見せない仕事とは、藤原麻里奈の名前を冠していない仕事のこと。

実は藤原さんは無駄クリエイターとしての活動以外にも、請負のライター業などを行っているそうです。

見せない仕事で確実に稼ぐことで、好きなこと=無駄づくりを妥協なく行うことができるメリットがあると。

 

いやはや、目からウロコというか、専業vs兼業のバトルは浅はかでした。

見せない仕事を作れば、たしかにフリーランスでも「好きなこと」の尊厳を守ることができます。

かつ、フリーとして受注した仕事なら「好きなこと」に集中したい時にコントロールもしやすい。

 

また「見えない仕事」を回してくれているのは、無駄づくりの中で知り合ったクライアントさんだそうです。

実は「見える仕事」と「見えない仕事」で相乗効果が生まれているんですね。

これはとても素晴らしい稼ぎ方だと思います。

 

キラキラした夢みたいなフリーランス像を自慢するわけでもなく、かといって現実につっぷして好きなことを諦めるわけでもない。

極めて現実的に好きなことを続けていく方法が「見えない仕事」の話だと思います。

それはぼくにとって非常に「リアルな夢」に思え、厳しさを感じながらもなんだか読んでいて嬉しくなりました。

 

もちろん、メインの無駄づくりをどのようにマネタイズしていったかも解説してくれています。

映像をお金に変えるには?

文章をお金に変えるには?

企業からもらう?

個人からもらう?

 

ビジネスの専門用語で説明されそうな難解な内容も、さすが芸人&ライター経験があるだけあって、非常に平易でわかりやすい文章で書いてくれています。

全体的にもちょっとしたボケが随所入っているので、とても楽しく読めましたw

 

孤独なクリエイターにおすすめしたい本

この本は既にネット上でなんらかの活動をしているクリエイターにおすすめしたい内容です。

メンタル的な部分から、ノウハウ的な部分まで網羅的な内容なので、どこからしらは役立つ内容があると思います。

 

さらに第四章では、

  • ライター 菊池良さん
  • 作家 前田司郎さん
  • メディアーティスト 八谷和彦さん
  • エディター・She is編集長 野村由芽さん

ら4人の稼ぎ方も覗き見ることができます。

 

お得感のある本ですねw

特にちょっと寂しい思いをしている"ぼっちクリエイター"の方にはおすすめです。

ぜひ手にとってみて下さい。

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タワーレコードの新規事業「タワーアカデミー」にてバン活!が講座を開催します。

 

  • 音楽を副業にしたい社会人の方
  • バンドをがんばっているバンドマンの方

 

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