「リマスター版を配信しました!」「〇〇 Remastered」
音楽のリリース情報で、こんな言葉を見かけたことはありませんか?
この“リマスター”という言葉、なんとなく聞いたことはあっても、意味を説明できる人は少ないかもしれません。
この記事では、「リマスターとはなにか?」という基本から、リミックスとの違い、インディーズアーティストにも関係がある理由まで、わかりやすく解説します。
リマスターとは?意味と目的をわかりやすく
リマスターとは、「過去に制作した音源を、最新の技術で音質を調整し直すこと」です。
音楽制作では、レコーディング・ミキシング・マスタリングという工程を経て、最終的な“音源”が完成します。その“マスター音源”を再調整(re-master)するから「リマスター」と呼ばれています。
たとえば…
- 古い録音のノイズを除去する
- 音圧(ラウドネス)を現代向けに調整する
- ステレオの広がりやバランスを整える
こうした処理を加えることで、より聴きやすく、クリアな音に仕上がるんです。
リマスターとリミックスの違い
「リミックス」と「リマスター」、似た言葉ですが内容はまったく違います。
用語 | 意味 |
---|---|
リマスター | 既存の音源を再調整(音質を良くする) |
リミックス | 曲の構成や楽器の配置そのものを変える |
リミックスは、ドラムを打ち込みに差し替えたり、ボーカルを抜いたりと大胆なアレンジが可能。
一方、リマスターはあくまで“原曲を活かしつつ、聴こえ方をブラッシュアップする”作業です。
インディーズでもリマスターすべき?
「リマスターなんてメジャーアーティストだけの話でしょ?」
と思われがちですが、実はインディーズこそ、過去音源のリマスターに取り組む価値があります。
たとえば…
- 昔の宅録音源を、今のクオリティで聴いてもらいたい
- サブスク配信する際に、聴きやすい音に整えたい
- コンピレーションやアルバム再構成のために音を揃えたい
こんなニーズがあるなら、リマスターは立派な選択肢になります。
宅録でもできる?リマスターのやり方
プロのスタジオに依頼するのが理想ですが、宅録環境でもある程度の“簡易リマスター”は可能です。
無料で使えるプラグイン例:
- Youlean Loudness Meter:音圧チェックに便利
- TDR Nova:高機能なパラメトリックEQ
- Limiter No6:多機能なリミッターで仕上げ
DAW上で、EQやコンプレッサー、リミッターなどを使ってバランスよく整えれば、“なんとなく物足りない音”がグッと引き締まった印象に変わります。
リマスター音源を配信するには?
TuneCore Japanなどの配信代行サービスでは、リマスター音源も問題なく登録できます。
ポイントは以下の通り:
- タイトルに「(Remastered)」と表記するのが一般的
例:『First Album (2025 Remastered)』 - ISRCコードは基本的に新規で取得(同一曲扱いにはなりません)
- ジャケット画像も変更するのが望ましい(目新しさを演出)
【聴き比べ】リマスター音源の例。レッド・ツェッペリン『Stairway to Heaven』
ミュージックビデオに使われてるオリジナル版(1971年):アナログ録音特有の温かみが感じられます。
リマスター版(2014年):ジミー・ペイジ自身が監修したリマスターで、音の解像度が向上し、各楽器の分離が明確になっています。
昔からのファンにとっては「こんなに音良かったっけ!?」と驚くことも。リマスターはまさに、音楽の再発見なのです。
リマスターは音楽の“再発見”の手段
リマスターは、ただの「古い音源の焼き直し」ではありません。
- リスナーにとっては、当時とは違う感覚で聴ける楽しみ
- アーティストにとっては、過去作をもう一度世に届けるチャンス
特に活動歴が長くなってくると、リマスターは「作品アーカイブ」としての価値も出てきます。
インディーズでも、音源を資産として活かすという視点から、リマスターを考えてみるとおもしろいかもしれません。
よくある質問(FAQ)
Q. リマスターってやる意味あるの?
→ あります。特に配信中心の今は、リスナーの環境に合わせた音づくりが大切。昔の音源でも聴かれやすくなります。
Q. 自分でリマスターしてもいいの?
→ 可能です。宅録環境でも、DAWとフリープラグインを使えば一定のクオリティに仕上がります。
Q. リマスターと再録音の違いは?
→ 再録音は、楽曲そのものを「録り直す」こと。リマスターは録った音の「仕上げ直し」です。
まとめ|過去音源に、いまの光を
リマスターとは、「音を磨き直す」こと。
それは、ただ古いものを蘇らせるのではなく、いまの時代に届くように“整える”という作業です。
あなたの過去作も、いまのあなたの耳で聴き直してみると、リマスターしたくなるかもしれません。
少しの調整で、音楽がもう一度、誰かの心に響く——
そんなきっかけになるのが、リマスターなのです。