5月8日にRadioheadのニューアルバム「A Moon Shaped Pool」がリリースされました。

Radioheadと言えば、斬新なプロモーションをすることでも有名です。

 

数年前にリリースした「in rainbow」では購入者が言い値で買えるシステムでした。

トム・ヨークのソロアルバム「Tomorrow’s Modern Boxes」はなんかちょっとよくわからない「BitTorrent」というダウンロード方法をつかったり。(笑)

 

今回もリリースに至るまでのプロモーションがかっこよかったのでご紹介します。

特に個人で音楽活動されている方には参考になると思います。

 

ちょっとしたオチつきですが。(笑)

 

チャンス

4月30日 ファンに届くなぞの手紙

公式にレディオヘッド関係のグッズが買える「w.a.s.t.e.」からグッズを購入したファンに向けてこんなポストカードが送られてきたそうです。

 

内容は「Sing the song of sixpence that goes Burn The Witch. We know where you live魔女を焼く6ペンスの歌を歌えお前らがどこに住んでいるか僕たちは知っている)」

 

というもの。

この時点では謎ですね~。

 

5月1日 Radiohead、ネットから消える!

ここが今回のキモ。

なんとネット上からレディオヘッドが消えちゃいます。

 

ホームページが真っ白になり、ツイッターもインスタグラムも消えました。

ここがとても秀逸で一気に情報が遮断されると、例のポストカードを持っているファンは否応にもSNSに投稿したくなります。

 

5月3日 インスタグラムに「謎の鳥」投稿 MV「Burn The Witch」リリース

なんだこの鳥?と思ったらこれはミュージックビデオの冒頭のシーンでした。

このあと新曲のミュージックビデオがYouTubeで公開されます。

www.youtube.com

5月7日 MV「Daydreaming」リリース

7日には2本目のミュージックビデオがリリースされます。

さっきと同じ流れですね。

 

インスタでちょいみせ⇒YouTube。

www.youtube.com

そして公式ツイッターで「明日(8日)にアルバムリリースするよー」とアナウンスが。

プロモーション開始から約1週間のスピード感がすごい!

このスピードこそデジタル最大のおもしろさだと思いますね。

 

5月8日 特設サイトでアルバムリリース

そして8日にamoonshapedpool.comというアルバム販売用の特設サイトが立ち上がり、購入ができるようになりました。(英語のみ)

まずはデジタルのみでの販売のようです。

 

CDとアナログは6月17日に発売予定。

全部入ったスペシャルエディションは9月発売だそうです。

 

Googleがミスって先行販売(笑)

今回はバンドが完璧に情報を操作するのがおもしろかったのですが、Googleが水をさしました。(笑)

午後2時の解禁を前にGoogle Playで公開しちゃうという大失態。

あーあ、これって損害賠償とかあるのかな~?

 

マスメディアと既存の販売経路を使わない音楽活動

情報を一気に遮断し、小出しにしながら、すばらしいスピード感でマーケティングからリリースまでを行ったRadiohead。

「レディへだからやれることじゃん???」と思うことなかれ。

 

これはぼくらのようなプライベーターのようなミュージシャンこそ参考にすべき事例です。

まずこの2つのポイントをおさえましょう。

 

マスメディアを使わない宣伝

今回のマーケティングではテレビ、雑誌、新聞など大手マスメディアにここまでは露出していません。

マスメディアに露出するには「信頼」が必要です。

 

別の言い方をすると「コネ」ですね。

情報に信頼が必要ですからリソースが「法人」であることが望ましい。

 

メジャー、インディーズなど有名レーベルに所属しているアーティストの方が取り上げられやすいのは当たり前の事実です。

ですからプライベーターのミュージシャンが大規模な宣伝をするのは難しかった。

 

今までは!

レディオヘッドは「ソーシャルメディアとアイディア」で大きなバズ(クチコミ)をおこし、莫大なリーチを獲得しました。

 

もちろん世界中の熱心のファンな存在がそれを後押ししたことは事実でしょう。

しかしながらバンドの規模に関係なく、ソーシャルでバズはおこすことは可能です。

 

例に出すのは微妙ですが「保育園落ちた。日本死ね」のブログが日本中で話題になりましたよね?

あれなんか匿名ダイアリーの文章です。

 

ある種のセンセーショナルさがあれば名前なんかなくともバズは起こるのです。

音楽で言えば、THE NOVEMBERSのシェアCDやゴールデンボンバーの特典なしCDは良い例です。

 

「ソーシャルメディア×アイディア」という武器はこれからのミュージシャンはもっておきましょう。

 

既存の流通経路を使わない販売

またこのマーケティングのポイントは「スピード感」にあります。

ファンの興味が尽きないうちにMVリリースから、アルバムのリリースまで一気にやってのけました。

 

「特設サイトでの直接販売」という手法がこれを可能にしました。

こういったスピードは既存の流通経路を使うと無理です。

 

ぼくもCDをリリースした経験がありますが、ディストリビューターさんに話をつけてからリリースまで早くても2ヵ月はかかります。

コレもぼくらプライベーターのミュージシャンがマネできる戦略です。

 

例えば「昨日のライブ音源をすぐ配信!」なんてこともできるわけです。

さらに言えば、新しい流通の方がバンドに利益が還元される割合が大きいのも魅力ですね。

 

察するに宣伝も流通も予算を全然使っていないと思います。

実はこれこそ個人レベルで活動するミュージシャンが参考にすべき点です。

 

音楽制作はさておき、プロモーションにお金がかけられないのはプライベーターの苦しいところ。

そこを打開する方法をRadioheadが示してくれているように、ぼくは思います。

 

結果的にRadioheadほどの経済的成功は無理でも、自身の音楽の対価としては十分な収入が得られる可能性が示唆されます。

個人で販売経路を確保する方法としてBASEがおすすめです。

デジタル作品を販売するこもできますし、メルマガやブログ機能もありますよ。

 

ぜひともこんな視点で今回のRedioheadのマーケティングを見てみてください。

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